A DEABETIC LIFE− 糖尿病の治療(3) 運動療法 − |
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■運動療法の重要性 | ■運動療法のメカニズム | ||
■していい運動・悪い運動 | ■いつ、どんな運動が最適なのか? | ||
■運動療法の注意点 | ■運動療法は適当で | ||
■運動療法の重要性 | |||
薬物療法、食餌療法と並んで、2型糖尿病の治療には運動療法が絶対に不可欠です。 しかし2型糖尿病患者の多くは運動不足または運動嫌いであるようです。ですから最初のうちはある程度やるけれど、そのうちだんだんサボるようになり、挙句の果てにはまったくやらなくなってしまうことが多いそうです。 しかし運動療法には次の様な効果が期待できます。 ・正しい運動は血糖値を下げる ・低下している代謝能力を回復させる ・インシュリンを節約、または最も重要な箇所へと回せる ・血管の老化を防止し、合併症に強くなる ・体力や筋肉をつけ、脂肪燃焼を助ける ・脳神経を活発にし、神経障害に強くなる ・心肺機能を高め、合併症に強くなる ・ストレスを発散させる ただし、血糖値が高過ぎる人や合併症のある人は運動療法が禁止されています。 また、薬物療法で低血糖を起こしやすい人や血糖値が不安定な人は運動療法に制限が加えられます。 このため、医師に相談した上で、運動療法を行なうようにしていきましょう。 そしてなるべく運動療法を続けることで、糖尿病に勝てるようにしていきましょう。 |
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■運動療法のメカニズム | |||
運動治療にはふたつの効果があります。急性効果と慢性効果といいます。 (1)急性効果 適度な運動を開始すると、運動開始から15〜20分間は筋肉に蓄えられているグリコーゲンという物質がブドウ糖に分解されて運動のためのエネルギーとして使われ始めます。 この時間帯を過ぎてまだなお運動を継続することで、今度は血中のブドウ糖もエネルギーとして使い始めるので、血糖値が下がるという結果を得られます。 (2)慢性効果 血中のブドウ糖を細胞内に取り込む役目をしているホルモンがインシュリンですが、運動療法はこのインシュリンの感受性を高めます。糖尿病患者や糖尿病予備軍の人はインシュリンに対する抵抗力が生まれてしまっているのですが、長期に渡って運動療法を適度に続けることでこの抵抗力が弱まり、血中のブドウ糖の代謝が促進され、血糖値が下がり、安定していきます。 運動療法で大切なのは有酸素運動を行なうことです。 ただし、血糖値が250以上の方は、身体が運動をストレスに感じてしまい、余計に血糖値を上昇させてしまうことが多いので、薬物療法や食餌療法で血糖値を下げてからにしたほうが良いでしょう。 また尿ケトン体が陽性(尿に蛋白が降りている)となっている重度の糖尿病患者は絶対安静が必要です。 血糖値がそこまで高くない患者であっても、体調が悪い時、風邪をひいた時などは運動を自粛したほうがいいようです。 |
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■していい運動・悪い運動 | |||
闇雲に運動をしても血糖値が下がるものではありません。 してもいい運動もあれば、悪い運動もあります。悪い運動は血糖値を上昇させてしまいますので、絶対にしてはいけません。 (1)してもいい運動 有酸素運動と呼ばれるものがこれに当たります。 ・ウォーキング ・身体に負担のかからないジョギング ・エアロビクス ・ボディコンバット ・縄跳び ・水泳 ・サイクリング などが最適と言われています。ただし年齢や他の体調(骨が弱っているなど)によって、これらは制限を受けます。お年寄りにいきなりエアロビクスをさせるなどは非常に危険ですし、ウォーキングやジョギングなどは転倒や骨折に注意しなくてはなりません。 ご自分の体調や年齢に見合ったものを選ぶのが懸命でしょう。 私は競歩やマラソンが大嫌いなので、絶対に続けられないと自覚しています。このため、血糖値がもっと下がってきたら、ボディコンバットと水泳を始めようと思っています。ボディコンバットとはコナミスポーツクラブというところが推奨しているエクササイズで、エグザズというスポーツクラブ(コナミが経営しています)か、プレイステーションソフト「マーシャルビート」で体験することができます。空手・ボクシング・太極拳などの技をダンスミュージックに合わせて繰り出すことで、あたかもダンスしているように見えるのです。同様にプレイステーションやゲームセンターでプレイできる「ダンスダンスレボリューション」というゲームも有酸素運動として効果的ですし、何よりも飽きずに楽しくできるところが特長です。 (2)して悪い運動 無酸素運動や急激な運動がこれに当たります。 ・息が苦しくなるようなジョギング ・短時間の全力疾走 ・腹筋 ・腕立て伏せ ・ヒンズースクワット ・ボートこぎ ・エキスパンダーや鉄アレイを使った筋力トレーニング これらのうち、腹筋や腕立て伏せなどの筋力トレーニングは、適度に織り込めば効果が出ますが、あまりやりすぎたり、この運動だけに偏ったりすると、血糖値を上げかねません。 (3)好ましくない運動 これはしても問題はないのですが、いつでも自由にできないというものです。 ・ゴルフなどのたまにしかできないスポーツ ・スキー、スノーボードなどのウィンタースポーツ ・バレーボール、サッカーなどの複数人数が揃わないとできないスポーツ これらの運動をしているからと他の運動をしないでいると、運動療法の効果は出ません。最低でも3日に1回は運動をしなければならないし、通年、生涯に渡って行なっていかなければならないからです。 |
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■いつ、どんな運動が最適なのか? | |||
・ウォーキング ・身体に負担のかからないジョギング ・エアロビクス ・ボディコンバット ・縄跳び ・水泳 ・サイクリング などが最適と言われています。もしこれ以外の有酸素運動でご自分が続けることができてなおかつ通年できるようなスポーツがあれば、それが最適と言えるでしょう。 これらの運動が最適と言っても、運動をするタイミングによって良くも悪くもなってしまいます。では、どんな時が悪いタイミングなのでしょうか? ・食後すぐ 血糖値が急上昇していく時間帯に運動すると血糖値が更に上昇します。 ・インシュリン作用が切れる時間帯 インシュリン製剤のタイプによって時間はまちまちですが、インシュリンが切れている時間帯に運動をすると血糖値が上がってしまう場合もあります。 ・食前1時間前 糖尿病患者が最も血糖値が低い状態でいる時です。低血糖になる可能性もあるので、この時間帯は運動を避けます。 では、最良のタイミングはいつになるのでしょうか。 それは「食後1時間経過時点」と言われています。 食後1時間すると、血糖値は上がっている時間帯ではあるものの、運動が逆にこれを抑えようとして急性効果が表れると言われています。 |
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■運動療法の注意点 | |||
運動療法でまず最初に注意しなければならないのは、怪我です。 ウォーキングやジョギング等には転倒して怪我をする危険性があります。エアロビクスやボディコンバット等にはスジを傷めたり筋肉を傷めたりする危険性があります。 こうした怪我を防止するため、必ずしなければならないのが準備運動です。 ストレッチやラジオ体操などでいいので、充分に筋肉をほぐしてから運動療法に入る必要があります。2型糖尿病患者は運動機能が低下していて、身体のバランスを保つ機能が急激な運動についていかなかったり、普段動かさないような筋肉を動かしてスジを傷めてしまったりという事故が起こりやすいものです。 事故によって運動ができなくなることが最も恐ろしいことなので、防止できる怪我は防止するよう努めましょう。 次に注意する点は、継続性ということです。 運動療法は一時的なものではなく、ずーっと続けていくものです。年齢などで内容は替わるのですが「運動する】という行為は死ぬまで続きます。 このため飽きたら止めるということができません。なるべく飽きずに、楽しく続けられることを見つけましょう。もし内容に飽きたら別の内容に替えることは問題ありません。 また毎日やるという課題を課してしまうとストレスになって止めてしまうという人も多いようです。医師の話では、一度適正にやった運動(食後1時間経過時点から開始して、20分以上続けて行なった有酸素運動)は3日間効果が続くということです。 このため、3日に一度の運動でいい、ということになるのです。 一週間の中で、例えば月曜日と木曜日は運動の日、と決めておけば忘れることもないでしょうから、最低でもこのくらいのペースで適正な運動をするようにしましょう。 最後に注意すべき点は、甘えないということです。 運動したから、いつもよりも余計に食べてしまおう。運動したから、今日は酒を飲もう、という甘えは、せっかくの運動療法の効果を殺してしまいます。 酒を飲むためにいつもよりも運動量を多くするという方もいますが、酒の分のカロリーを運動で消費しようなんて無理です。例えばラジオ体操を30分間続けた時に消費されるカロリーはたったの80kcal。わずか1単位です。また、ボディコンバットやエアロビのような激しい有酸素運動を30分続けても消費されるカロリーは400kcal程度、5単位分です。激しい有酸素運動を30分続けることができるのは充分にトレーニングして身体が慣れていなければできません。私がボディコンバットを始めた時は、10分続けるのがやっとで、10分やった後は多量の発汗と筋肉の疲労で酒を飲んだら逆に危険になってしまう程でした。 私はタバコを止めていませんのでお酒を飲む習慣がある人にも酒を止めた方がいいとは強く言えませんが、酒は直接カロリーや血糖値に結びつくものなので、飲まずにいられるのなら飲まない方がいいでしょう。タバコのように常習性があるものではないのですから(常習性があるようならまずはアルコール中毒の治療が必要です)。 |
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■運動療法は適当で | |||
上の注意点にもありますが、運動療法は「細く長く続ける」ことが大切です。 毎日やるという課題を課してしまうとストレスになって止めてしまうという人も多いようです。医師の話では、一度適正にやった運動(食後1時間経過時点から開始して、20分以上続けて行なった有酸素運動)は3日間効果が続くということです。 このため、3日に一度の運動でいい、ということになるのです。 こうした適当な感覚が、運動療法にも必要です。 食事を制限され、嫌いな運動もしなければならず、薬も忘れられない毎日です。 もしやらなければならない日や時間にできなくなってしまったとしても、「ま、いっか」で済ませるくらいの適当さが必要です。 ただし毎日「ま、いっか」で先延ばしを一生続けるのはどうかと思いますが…。まぁ、ダイエットをする女性も同じ苦しみがあるのでしょうから、ご自分に見合った適当さでいいかと思います。ダイエットする女性と違うのは、我々糖尿病患者には命が掛かっているってことだけですから(笑)。 |
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